AppleのCMを見たのはいつだっただろうか。iMacが初めて出たときのCM。PCがベージュだと誰が決めたのでしょうか? みたいなことを言ってたCM。わたしはあれを見て完全に魅入られてしまった。
当時学生で、自分用のPCが欲しいと思っていた矢先だった。研究室にMacはあったが、Windowsの走るPCもあったし、別にことさらMacを買おうとは思ってなかった。ただ、周りにMacのユーザーは多かった気はする。いや、ぶっちゃけ友人がMacを褒めるというかけなすというか妙に思い入れのある会話をしているのは何となく聞いていて、割合Macに魅かれていたかも知れない。そこへ来てあのCMでとどめを刺された形だった。
ただ安いとはいえ学生には高い買い物で、結局入手したのは年が明けてからだった。
99年の始めだか98年の末だかに3万位値下げされて、まあ理由を推測する知恵もなくほくほくとして買ったのだった。(すぐに5色の新モデルがリリースされてさらに値が下がった)当時PCについてはかなり無知だったのに出荷時期によってビデオメモリの容量とOSのバージョンに違いがあるという情報は押さえていて、きちんと後期モデルであることは確認していた。
これは偉かったと思う。ただ、メモリの増設とプリンタの購入を一緒に行えばもっと偉かったのだが、そこまでは知恵がまわらなかったらしい。なんというか生協の職員に「iMacください」と言っただけでけっこう舞い上がってしまい(そんな高い買い物をしたこと無かったし)覚えていたのに言いそびれてしまったのだ。そんなわけでiMacは素のまんま、ほんとに素のまんま場違いこの上ない安アパートにやって来てしまった。
まず机の上を片づけて本体を据え付け、電源ケーブルを差す。ここまでが1stステップ。まあCMでは省略されていたがキーボードとマウスも当然差す。しゃらにモジュラーケーブルを電話線に……、
差せなんだ。わはは。ケーブルの長さが足りなくて机の上から届かなかったのだ。まあそもそもプロバイダと契約してないし、差しても何も出来ないのだが、これは困ってしまった。もっと長いケーブルを買ってくれば差せるが、そうすると部屋の入り口を線が横断する形になってたいへん具合が悪い。もっともっと長いのを買ってきて壁伝いに這わせるか、机の位置を変えなければならなかった。
というわけで模様替えをしてしまった。ようやくセッティングし終えたのは深夜の4時だった。明け方とも言う。ひたすら眠たかったがこのまま寝るのも口惜しいので電源だけでも入れてみることにする。ポチッとな。
じゃーん。
起動音がするのは知っていたが、音がでかすぎた。深夜4時だ。もうちょっと考えて欲しい。どれくらいでかかったかというとチキンなわたしがびっくりして即座に電源落としてしまうほどでかかった。
まあ今ボリューム最大にして起動してみてもそこまでのインパクトはないのだが、当時は割合閑静な場所に住んでたし、深夜4時といえば周りも静かなものだし。とりあえずヘッドフォンを引っ張り出してイヤホンジャックに差し込み今一度起動してみた。しかし最初のオーナーが最初にやったのが強制リセットというのは先が思いやられる話だ。iMacとしても先行き不安になったに違いない。
ともかくiMacはやってきてしまった。この後プロバイダと契約してWebに繋がるようになったのがだいたい1ヶ月後くらい。この際ぶっちゃけるがわたしは3ステップを実現するのに3週間かかった。プロバイダとの契約までというのではなく契約して接続に必要な情報が送られてきてから、である。
設定がまじでわからんかった。しゃらに2ヶ月後くらいにようやくプリンタとフロッピーディスクドライブが導入されまともに使えるようになるまで、iMacはほとんどインテリアだった。メールに書類を添付して学校のマシンに送るという技(?)を知っていればもう少し早く活躍していたかも知れないが、それすらしらなんだ。
というかリモートアクセスできたような気もするのだがよく覚えてない。なにしろ研究室で2台並んでちゃんとLanが組んであるのにわざわざフロッピーやらMOでファイル交換していたくらいなのでネットワークという概念がよく理解できていなかったのだろう。
その後いろいろな解説本や雑誌などを見てわたしは徐々に深みにはまった。システムフォルダをいじくりかえしては一人でほくそ笑む時代があって、やがてセカンドマシンとしてPowerBook1400が導入される。基本的な作業がそちらに移行するとiMacの役目はCDライブラリをMP3化してため込むこと、Melodyでスコアを書くこと、印刷すること、当時唯一買ったゲームDiablo2を遊ぶことにだいたい絞られてしまった。
OSXが出たとき一応インストールされるものの、やはり使い物にならず玉砕。PowerBookの調子が悪くなり、再び全権委譲されるまで3年くらいそんな状態が続く。PowerBookのプロセッサドライバが不調でトラブルが頻発するようになったのが2003年春頃でその後1年くらいはまたiMacで全てをこなしていた。
その間CD-ROMを認識しないようになったり、画面がたまに揺れたり細かなトラブルはあったが、2004年7月にとうとう電源が入らなくなる。内蔵電池を替えてみようか、あっさり修理に出してみようかとか考えながらもとりあえずそのまま現在に至る。このまま引退の可能性が高いか。